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1日に100万以上視聴される、 CBSN のライブが人気の理由 :「先行投資」と「若年層開拓」が奏功 | DIGIDAY[日本版]

CBSニュース(CBS News)の24時間無料ストリーミング動画ニュースネットワークが、1日当たり平均で100万回超の動画ストリーミング再生回数を記録したと、同局が報じている。

CBSNで毎日配信されるライブストリームの約80%がライブコンテンツとなっており、さまざまなニュースセグメントを扱うオンデマンド動画に取って代わっている。こうなったのは、CBSニュースが過去4年半にわたり、CBSNでのライブ放送を続けようと投資してきたからだ。CBSニュースデジタル(CBS News Digital)でエグゼクティブバイスプレジデント兼ゼネラルマネージャーを務めるクリスティ・タナー氏は、CBSNでは、1日当たり通常12時間ライブ放送を配信すると語る。視聴者がCBSNのライブ番組に期待を寄せていたこともあり、平均視聴時間は「ゆうに1時間を超える」とタナー氏は言う。

「我々は常に動画配信している」と、タナー氏は言う。「オンデマンド動画を視聴しようとする場合は、ひとつの話だけを見ようとすることが多いが、ライブストリーミングの視聴者は、長い時間見続けるつもりで動画を視聴しはじめる」。

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CBSNの成長要因

現在、CBSNは18種の異なる配信源で視聴可能だ。たとえば、Apple TVやAmazonのFire TV、ロク(Roku)などのストリーミングTVデバイス、Hulu ライブTV(Hulu Live TV)のようなライブTVバンドル、さらには、同局のデスクトップPC向けのWebサイト、モバイルアプリ、CBSのオールアクセスのサブスクリプションストリーミングサービスなどで視聴できる。新しい成長分野となっているのが、インターネット接続型テレビの販売を伸ばしているサムスン(Samsung)やLG、ビジオ(Vizio)をはじめとするテレビメーカーである。このセグメントは、2018年のホリデーシーズン以来、「3桁の」成長を見せていると、タナー氏は言う。

「CBSインタラクティブ(CBS Interactive)局が社内でこの技術や専門知識を有しているため、我々は、新しい環境に迅速に対応できる」と、タナー氏は言う。「このような敏捷さは、ストリーミングの領域で積んできた4年半の経験の賜物だ。現状に追い付こうとしてきたのではなく、この領域をリードしてきたからこそ成し得ることだ」。

また、CBSNは、CBSニュースが比較的年配の世代ほどは従来のテレビを見ない若い世代にリーチするうえで役立った。CBSN視聴者の平均年齢は37歳だと同社は発表している。通常のニュース放送を視聴する年代は、少なくとも20歳は年上だとタナー氏は言う。

1日に100万以上視聴される、 CBSN のライブが人気の理由 :「先行投資」と「若年層開拓」が奏功 | DIGIDAY[日本版]

「CBSNは、いったんつながりが切れたオーディエンスとまた新しくつながろうとするだけではなく、そもそも『つながった』ことがないであろうオーディエンスとも関係を維持しようとするCBSニュースの試みだ」と、メディア顧問会社であるクリエイティービィー・メディア(Creatv Media)の創業者、ピーター・クサシー氏は言う。「しかし、そこに成長の土壌はあるが、一体どの程度そこに成長の余地があるかが疑問だ」。

競合会社は続々登場

とりわけ、このような体制になって以来、CBSNは5年前と比べて現在はより多くの競合会社が出現したと見ている。昨年は、ABCニュース(ABC News)がライブストリーミングニュースチャンネルの配信を開始し、NBCニュース(NBC News)は今年、独自の無料ストリーミングサービスの提供に向けて準備中だ。一方で、フォックスニュース(Fox News)は会員向けサブスクリプション動画サービスを提供している。

CBSNのデジタルパブリッシング競合企業には、E.W.スクリップス(E.W. Scripps)傘下のニュージー(Newsy)やフランスのケーブルテレビ事業者であるアルティス(Altice)が2億ドル(約220億円)で買収したチェダー(Cheddar)などがある。競合会社のこのリストには、Fire TVのユーザー向けに無料のニュース動画ストリーミングサービスの提供に向けた取り組みを進めていると報じられているAmazonも近く入ることになるだろう。

これらのすべてのサービスは、視聴形態がオーバーザトップ(OTT)、すなわち高速インターネット回線を利用する方向にますます進んでいくなかで、顧客にこれらのサービスに時間を費やしてもらい、顧客からの注目を集めようと競い合っている。

CBSNの競合優位性

タナー氏によると、CBSNは、競争が激化しても優位な立場にあるという。なぜなら、これらのサービスはより多くのオーディエンスをOTTエコシステムに引き付けることを可能にするものだが、CBSニュースは、ほかのストリーミングサービスより約5年も先駆けて準備を進めてきたからだ。「ほかの企業もちょうどいま、サービスを開始しようとしているが、我々は、ニュースのオーディエンスや彼らがストリーミングの領域においてどういったものを望んでいるかに関する経験や知識をほかより多く持っている」と、タナー氏は言う。「そのため、我々は成長し、オーディエンスの望むものを与え続けることができると自負している」。

この成長のなかには、よりローカルな番組を制作することを介して実現するものもある。昨年、CBSNはニューヨーク初のローカル番組の制作を開始し、現在は、第2弾としてロサンゼルス向けのローカルチャンネルの制作に取り組んでおり、もうすぐ完成予定である。同局の広報担当者によると、CBSNは今年の後半には、ボストンとサンフランシスコのライブ形式のローカル番組を制作予定だという。

CBSNは、オリジナルのドキュメンタリー作品の制作数を2018年の12作品から今年は18作品に増やすことも予定しているとタナー氏は言う。

「オーディエンスの意見を聞いてみると、彼らはもっと掘り下げる報道をしてほしいと言っている。どんな話題を扱ってほしいのかも教えてくれる」と、タナー氏は言う。「オーディエンスが本当によく反応を示してくれるので、我々はこの2年の歩みのなかで、多くのストーリーを製作してきた」。

Sahil Patel(原文 / 訳:Conyac)