• ブログ
  • M1チップ搭載の最新「iPad Pro」で音楽制作、必要な機材や編集ソフトは?

M1チップ搭載の最新「iPad Pro」で音楽制作、必要な機材や編集ソフトは?

ビリー・アイリッシュに続いちゃう?

宅録って楽しいですよね。たとえ下手くそでも、自分の演奏を形にできる喜び。あ、でも、最近はDTMとかDAWとか呼ぶのかな。英語圏だと、ベッドルームスタジオで制作、なんて言ったりしますね。


M1チップ搭載の最新iPad Proが発売されました。iPadの初登場から10年以上もたちましたが、どんな作業に適していて、どんな作業に向かないか、いまだ意見が分かれています。音楽制作者のなかには、最新iPad Proでもプロの仕事には力不足、と考える人がいるようです。でも、そんなことはありません。目的に合った機材やアプリと組み合わせればいいのです。

必要なものや設定は人それぞれです。それでも、以下で紹介する機材などは、宅録でデビューアルバムを制作する人でも、スタジオに縛られず好きな場所でポッドキャスト番組を作る人でも、第一歩を踏み出す助けになるはずです。

必要不可欠なオーディオ制作用ハード

USB-Cに対応しているお陰で、iPad Proには実に多彩な機材が接続できます。さらにUSB-Cハブで拡張すれば、接続可能な数を簡単に増やせます。マイクやヘッドホンなど、自分専用スタジオに必要な機材がつなげられるのです。ただし、iPad Proで使えるハブかどうか、念のため確認しましょう。まれに、うまく動かないハブがあります。

iPad Proの内蔵マイクでも録音できますが、やはり外付けマイクの方が良い結果につながります。iPad ProのUSB-Cポートは、接続する機器の互換性にやかましいところがあるので、きちんとした認証済みデバイスを使わないと本来の性能が発揮されません。

演奏を生録するにしても、ポッドキャスト用の会話を録音するにしても、それ専用のマイクだと音質が段違いです。そこで、270ドル(Amazon.co.jpでは約3万6000円)のRØDE VideoMic NTGというマイクを、15ドル(Amazon.co.jpでは1900円)のRØDE SC16というUSB-C-USB-CケーブルでiPad Proに接続する、といった組み合わせはどうでしょうか。このマイクはハイパスフィルター(HPF)を備え、高音域のブーストが可能なうえ、録音時の過大入力によるクリッピングを回避する-20dB保護チャンネルが設けられています。

あらゆる録音・オーディオ編集環境を網羅するなど不可能なので、この記事ではもう1つだけ、200ドル(Amazon.co.jpでは約3万円)のiRig Pro Duo I/Oというオーディオインターフェイスを紹介しましょう。これは、マイクや楽器を接続可能な2つのアナログ音声入力ポート、クラスAプリアンプ、iPad Proともう1つのデバイスに接続可能なライン出力ポートを搭載した外付けボックスで、iPad Proがどんなオーディオ編集スタジオになるかイメージがつかめます。

M1チップ搭載の最新「iPad Pro」で音楽制作、必要な機材や編集ソフトは?

USB-C接続可能なオーディオインターフェイスとして、170ドル(Amazon.co.jpでは2万1000円弱)のFocusrite(フォーカスライト)製Scarlett 2i2はどうでしょう。入力ポートはマイクと楽器の兼用ポートが2つあり、24ビット/192kHzコンバーターにより、これだけで専門録音スタジオ並みの音質が手に入ります。しかも、iPad Pro対応という、この記事を読んでいるあなたにピッタリのデバイスです。

音楽をレコーディングする人なら、MIDI楽器やMIDIコントローラーをiPad Proに接続できると便利ですね。149ドル(Amazon.co.jpでは約1万1000円)するMIDIキーボードのArturia Keystepなどを使えば、慣れた鍵盤で入力できますし、iPad Proの画面上で操作するより融通が利きます。場所を取らず、プログラムできて、直接iPad Proに接続可能です。このようなデバイスは、ほかにもたくさんあります。

ある程度以上の音質でオーディオ編集するのなら、きちんとしたヘッドホンが必要です。USB-C接続なのか、Bluetooth接続なのか、USBハブやオーディオインターフェイス経由なのかなど、つなぎ方はいろいろ。具体的なお薦め製品については、少し前のバイヤーズガイドをご覧ください。

iPad Proでオーディオを編集するに当たって忘れてならないデバイスは、Apple Pencilです。トラックを精密にトリミングするにしろ、音量をリアルタイムに調整するにしろ、Apple Pencilはとても役に立ちます。お薦めできるオーディオ編集アプリは、Apple Pencilのほか、指の操作やキーボードに割り当てられるショートカットのカスタマイズが可能で、作業の効率化につながります。

使うべきオーディオ編集アプリは

iPad用の録音ソフトとしては、まずは無料のGarageBandがお薦めです。初心者にも使いやすいだけでなく、独立32トラック、満足するまで録音を繰り返せるマルチテイクレコーディング、プロ並みのミキシング用エフェクト群、多種多様な楽器、さまざまなループなど、ステップアップしたユーザーの要求にも応えてくれます。GarageBandで十分な人が多いはずです。

GarageBandより高度な作業をしたいのなら、20ドル(約2000円)かかってしまいますが、AUM Audio Mixerはどうでしょう。内蔵しているソフト楽器から、接続可能なたくさんの外部音源まで、やりたいことをすべてカバーしてくれます。音を録音していじるのに最適なツールで、ほかのiPadOS用アプリとの相性も抜群です。

機能が豊富なお薦めオーディオ編集アプリとしては、値段が50ドル(約5400円)と高くなりますが、Cubasis 3もあります。マルチトラック対応の編集と音声処理、内蔵楽器、ループとエフェクトなどは、iPad Pro対応のプロ級デジタルオーディオワークステーション(DAW)ソフトにおいて飛び切り上等です。iPad Proの性能を引き出し、画面を活用できるという点で、ピカイチです。

14ドル(約1500円)のFL Studio Mobileも、録音や編集、シーケンス、ミキシング、マスタリングに必要な機能をすべて揃え、Cubasis 3と肩を並べます。エフェクトとサンプルは十分で、内蔵楽器、MIDI対応、シーケンスにも満足できるでしょう。そして、大きさに制約のあるiPad Proの画面をとても有効活用していることも、お薦めポイントです。

音声を録音するのなら、スッキリしたインターフェイスと高いカスタマイズ性によって、フリーミアム方式のFerrite Recording Studioがプロのあいだで評価されています。トラックの追加、カットや編集、エフェクトかぶせといった操作が、直感的に実行できます。ブックマーク、無音部除去、クロスフェード、レベルモニタリングなど十分な機能も備え、ポッドキャスト制作に最適です。

サウンドを思いのままに加工するためのフィルターとSEが豊富にあるという点で、同じくフリーミアム方式のHokusai Audio Editorも優れています。トラックをさっと1つにまとめて編集を施したり、ノーマライズとフェード操作で音量を細かく調整したりするのに、十分なアプリです。

アプリ間でオーディオをやり取りする必要があるなら、10ドル(約1000円)のAudiobus Mixerをインストールしておくべきです。複数のアプリをつなぐパイプラインを設定して、入出力するオーディオを自在に操れます。パイプラインには、Audiobus Mixerを入れても入れなくても構いません。

iPad Pro上でオーディオファイルを管理する作業は、なんといっても4ドル(約400円)で入手可能なAudioShareにお任せです。オーディオクリップをほかのアプリや環境へ持っていったり、簡単な切り取りや変換、ノーマライズをしたりできます。プロ向けツールなので、サンプルレートとビット長も変更可能です。

Advertisement