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アマゾンの逆襲…「コロナ禍で数値を落とした」最大手の画策(幻冬舎ゴールドオンライン) - Yahoo!ニュース

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(※写真はイメージです/PIXTA)

コロナ禍はアメリカのデジタルフロンティアに新たなスタートアップ企業が続々誕生している。その市場をアマゾン、ウォールマートの巨象が虎視眈々と狙っているという。アメリカ市場に何が起こっているのか。※本連載は、ダグ・スティーブンス氏の著書『小売の未来 新しい時代を生き残る10の「リテールタイプと消費者の問いかけ」』(プレジデント社)より一部を抜粋・再編集したものです。

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スタートアップが生まれるデジタルフロンティア

■続々と生まれる新しいデジタルフロンティアのリーダー意外かもしれないが、アマゾンはパンデミック中にEC市場でシェアを増やすどころか、逆に落としている。その理由は単純だ。他の業者もオンラインに参戦し始めたからだ。これほどの短期間に、世界各地の業者がオンラインの状況を聞きつけて参入してきたのだ。オンラインでうまいこと売れていないなら、やるわけがない。それだけのことである。業界全体としてオンライン販売・受注処理・配送業務にテコ入れし、アマゾンとの差を大きく縮めているのだ。問題は、多くの小売業者が追いつこうとしているのが、もう25年も前から世の中にあるEC(電子商取引)の手法なのである。アマゾン、アリババ、京東、ウォルマートが手がけているECの業態は、四半世紀以上の歴史のあるビジネスである。先行するブランドがそれぞれに新しい小売りのかたちを一から作り直してきたように、これから参入するなら、オンライン販売のあり方を一から作り直すつもりで、新たな小売りの道を見つけなければならない。今日のオンライン販売で私たちが当たり前と思っているシステムやインターフェイスは、10年もすれば、かつての通販カタログのように、時代遅れの懐かしささえ覚える代物に見えるはずだ。■グリッドデザインはもういらない2018年、あるベンチャーキャピタルから連絡があり、投資先として検討中のスタートアップ企業の創業者に会ってもらえないかと打診があった。ベンチャーキャピタルからのこの手の誘いは珍しくない。要は、投資先候補の創業者を業界関係者に引き合わせ、事業コンセプトの有望性を探るプレッシャー試験というわけだ。反応を分析し、情報を収集するとともに、ゆくゆくは潜在顧客の紹介につなぐことができるかもしれない。徒労に終わることも少なくないが、どういうわけか、この案件に私は興味をそそられた。このスタートアップの名前はオブセスといい、まったく新しいオンラインショッピング体験を開拓しているというのが売りだった。数日後、創業者のネハ・シンという女性と電話で話すことになった。マサチューセッツ工科大(MIT)でコンピュータサイエンスを専攻したシンは、グーグルでソフトウェアエンジニアとして5年間働いたという。学歴は理工系ではあるが、昔からファッションデザインに関心があり、仕事の合間を縫ってニューヨークシティのニューヨーク州立ファッション工科大学(FIT)に通い始めた。ファッション業界のスタートアップ企業向けに高級品専門ECサイトの構築を手がけ、技術とファッションの融合に興味を持ったという。電話で話した後、改めて面談した際、シンはこの仕事を経験して、「ECサイトのフロントエンドのインターフェイス(ユーザーが直接使用する画面や操作性など)は長らくまったく変わっていない」と気づいた。「アマゾンのお馴染みのインターフェイスは、そもそも書籍販売のために25年前に開発したもので、今日では他のECサイトも揃って似たようなインターフェイスになっています。各社ともバックエンド(ユーザーの目に触れないサーバーやデータベースなど)は数々のイノベーションが反映されているんですが、フロントエンドはほとんど変化がないんです。ほぼすべての小売りブランドが同じ標準グリッドインターフェイス(デザインの要素を格子状に配置する方式)を基に構築していますから」とシンは指摘する。さらに、その型にとらわれたくないブランドの場合、開発コストは一気に上がるのが普通だった。こうしたシンの当初の気づきがその後、確信に変わる。ファッション誌『ヴォーグ』のサイト構築を担い、デジタル版の立ち上げを機に、さまざまなブランドとの深い付き合いが始まったころだ。ウェブサイトや携帯アプリでの体験としては、ほとんどのブランドが似たり寄ったりだと実感したという。

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最終更新:幻冬舎ゴールドオンライン