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「雑談上手が成功する、は幻想」発達障害の私を励ました専門医の一言 ノリを共有できなくたって悪くない

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おしゃべりが上手な人ほど、うまく生きられる――。そんな考え方が大勢を占める中で、雑談に苦手意識を持つ人たちは、どう生きれば良いのか。漫画家・ゆめのさんが、発達障害の専門医に尋ねました。=ゆめのさん提供

大人になってから、発達障害の診断を受けた漫画家・ゆめのさん。長年、雑談への苦手意識を抱き続けてきました。「他の人とノリを共有できなくて、申し訳なくなってしまうんです……」。切実な胸の内を、専門医に伝えると、予想もしない言葉が返ってきたのです。緊張した心を解いてくれたやり取りについて、描いてもらいました。【画像】ゆめのさんの漫画全編はこちら。「引きこもって動画を見るのは趣味?」医師の回答に心が軽くなる。

「雑談上手が成功する、は幻想」発達障害の私を励ました専門医の一言 ノリを共有できなくたって悪くない

30代になっても克服できない悩み

ゆめのさんには以前から、どうにも悩ましい問題がありました。興味を持てない事柄について、他の人と気軽に語らうことが難しいのです。30代になった今も、なかなか克服できません。昨年秋、ゆめのさんはADHD(注意欠如多動性障害)・ASD(自閉スペクトラム症)と判明。「コミュニケーション力の無さって発達特性の影響が大きいみたい」。調べると、自身の特性と対人関係を築く力とのつながりが見えてきました。もっと情報を集められないかーー。そんな思いから、勇気を出して、専門医にオンラインインタビューを申し込みます。取材先は、発達障害に詳しい精神科医で、信州大学医学部子どものこころの発達医学教室教授・本田秀夫さんです。

専門医が語った「後ろめたさ」の原因

「私、とにかく雑談が苦手で」「話さなきゃいけない場面でしんどくなってしまうんです」。取材当日。パソコン画面の向こう側に座る本田さんに、ゆめのさんは、ぽつりぽつりと気持ちを打ち明けます。「僕も同じタイプ。雑談はあまりしないです」。本田さんはそう共感すると、どんな場面で会話が怖くなるのか聞き出していきました。自分の興味があるテーマであれば、話せる。少数の、気の許せる人の前でなら、物怖じしない。むしろ饒舌(じょうぜつ)になることさえあるーー。過去の出来事を振り返っていくと、他人と心置きなく言葉を交わせるシチュエーションが、少しずつ頭に浮かんできます。「それは好きなことが偏っていて、同じ興味やノリを共有出来ない人に対する後ろめたさに悩んでいるんでしょう」。本田さんの一言に、「ふつう」にコミュニケーションができないと思い込んでいたゆめのさんは、ハッとした表情を見せました。

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最終更新:withnews