スマホを家に置いてきても、もちろんOK!
過去にUNDER ARMOUR(アンダーアーマー)のスマートスニーカーを使ってみて、イマイチだったという米GizmodoのVictoria Song 。それが、新たにリリースされたInfinite(インフィニット)は良い意味で予想を裏切ったようです。いままでスマートスニーカーが必要じゃなかったという人も、なんなら気にもとめていなかったという人でも、この機能、この価格ならちょっと欲しくなっちゃうかもしれません...!
ランニングシューズって、けっこう大事です。ランニング中の怪我を防止するという役割もあるんですよ。
そんなことをいっても実際、わたしたちが靴を選ぶときに気にするのはフィット感だったりするんですけどね。最近では、店員さんに走り方を分析してもらったうえで、自分の足にぴったりの靴を探すことができるお店もあります。
いまのところ、ランニングを記録するデバイスとして主流なのはスマートウォッチやフィットネスバンドなどがあります。でも、スマートスニーカーもちらほらと見かけるようになってきました。
でも以前、UNDER ARMOURのAltra Torin IQを使ってみたときは、正直スマートシューズってなんだろうって思わずにいられませんでした。理論上は、どれも聞こえが良いんですよ。ストライド(歩幅)やケイデンス(足を動かす早さ)、なかには地面への足のつき方までトラックして、走るフォームの改善につなげたり、アプリと連動してリアルタイムコーチングができたり...。
でも実際のところ、腕につけるタイプのトラッカーほどの多機能性やバリューがあるようには感じられなかったのです。Bluetooth接続が不安定で、あらゆるランナーの走り方にも対応しているわけではないのに、高価格でコスパが悪いというのが率直な感想でした。
そんなこともあって、UNDER ARMOURからHOVR(ホバー)が新たにリリースされたと聞いたときは、思わず斜に構えてしまったのです。でも、実際にインフィニットで9.5km以上走ってみた率直な感想は、思っていたよりも良くて快適でした。
Under Armour HOVR Infinite
これは何:UNDER ARMOUR最新のスマートスニーカー
いくら:120ドル(日本価格は1万4040円)
好きなところ:パーソナルコーチング機能が役に立つ
好きじゃないところ:リアルタイムでアドバイスがもらえない
HOVRには、より安定性に優れたGuardian(ガーディアン)、軽量でスピードを重視するランナーのためのVelociti 2(ヴェロシティ2)など数種類あります。今回レビューするInfinite(インフィニット)とよばれるモデルは、耐久性を重視したデザインが特徴。軽量で高反発のフォーム、かかとには耐摩耗性ゴム、インソールは男女別の構造、伸縮性のあるメッシュ素材、そしてヒールカウンターは立体的になっています。
でも、もっと気になるのはこのスニーカーがどれくらいスマートかってことですよね。すべてのHOVRシューズ(右足)には、UNDER ARMOUR独自アプリ「Map My Run」対応チップが搭載されています。これにより距離、ペース、経過時間、ケイデンス、ストライドといった情報がトラックできるようになっています。
アップルウォッチ、ガーミン、フィットビットと同様のことが、スニーカーというデバイスでもできるんです。もちろんランニングマシンでも屋外でも利用できますし、パーソナルコーチングの機能もあります。
MapMyRunアプリを起動してBluetoothとペアリングすると、基本的にインドアでもアウトドアでもランニング記録を計測できます。一定以上の距離を走ると、靴から収集された情報に基づいて走り方に関する分析をみることができます。
たとえば、インフィニットで2マイル(約3.2km) 走ったときのことです。わたしのストライドは約1.65mだと測定され、私が走るペースだと約1.52〜1.75mをねらうべきだと提示されました。本来こうした数値は、走行距離をピッチ(歩数)で割り算しなければ出てこないため自分で毎回計算するのはなかなか大変です。
また、目標の数値と実際のランニングを比較して何パーセント達成できているかといった分析も示してくれます。わたしは最初のランで目標ストライドの68%をばっちりこなしていたのですが、(寒さのせいで)最後のほうはちょっと芳しくない結果になっていました。
こうした記録は、何度も見返すことができます。わたしは1週間のあいだに自分が走ったデータをチェックしてみましたが、トレーニングの管理ができるのは率直に面白いと思いました。アドバイスもためになるのと、ランニング前のやる気にも繋がります。
もうひとつ、良いところがあります。もしスマホを家に置いてきても、ランニング中のデータをトラックしてくれるのです。内蔵チップが最大6時間(継続)のランニングデータを蓄積できて、アプリに同期されるようになっています。
これはUNDER ARMOURから教えてもらったのですが、休憩がてら歩いたとき(インターバルトレーニング)や、ランニング終了時はアプリが自動認識してくれるのだそうです。この機能は信号を待つあいだなんかも便利ですよね。
でも、弱点もあります。スマホなしでランニングしてみたところ、開始と終了が記録されるのに数分かかることがわかったのです。こうしたことは、ほかのフィットネストラッカーの自動記録を使ったときにもよく起きることなので、いまのところメジャーな欠陥だとは思っていないんですけどね。
いっぽう、競合製品と比べてちょっとだけ惜しいことがひとつあります。リアルタイムガイダンスです。UNDER ARMOURはランニング後に分析を示してくれるのですが、ストライドやケイデンスなど、できれば調整すべきところがあるなら走っているあいだに教えてほしいと思うのです。
でも、これには思い当たるところがあります。Altra Torin IQというスマートスニーカーで走っていたとき、快適だったのです。が、リアルタイムコーチングがBluetooth接続の問題で同期されないことが多々あって...わたしの記録はめちゃくちゃになっていました。
そんなことも踏まえて考えてみると、このインフィニットではBluetoothの限界を踏まえたうえであえてリアルタイム性をなくしたのだとわかります。でも同時に、これじゃあ次のランニングまで走り方を改善できないってことになるのですが。
スマート機能がないランニングシューズであっても、高価なものは2万越えるものもありますし、"普通に良い"くらいのスニーカーであっても、1万前後するのもありますよね。前述のAltra Torin IQは200ドル(日本価格は3万円ほど)で、スマートインソールのArionは、6万5千円で国内先行予約を受け付けているようです。これらを踏まえてあえて最後に書くと、インフィニットの価格は120ドル(日本価格は税込1万4040円)です。
スマートスニーカーを必要とする人がどれくらいいるかは分かりません。でも、最適なケイデンスやストライドなど分からないというランニング初心者であれば、長期的にランニングの効率性を上げたり怪我を防止したり、良い投資になると思います。パフォーマンスを改善したいベテランのランナーにも、同じことが言えるでしょう。
ただ、走りの基本は抑えていて、しばらく新しい靴を買い替える必要はなさそうだという人たちには、焦って買い替えるべきですよ!とまでは言い切れません。きっと、いまの靴のままで十分です。