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「コネクテッドTV」の広告にまつわる、7つの迷信 | DIGIDAY[日本版]

コネクテッドTVは2018年、モバイルを抜いて、デジタル動画のインプレッションがもっとも多いスクリーンになった。

しかし、ストリーミングについては、広告主やパブリッシャーの正規ルートにも大げさな話が入り込んでいる。インターネット越しに配信されたものをテレビ画面で視聴する場合の包括的な用語である「コネクテッドTV」には、払拭すべき迷信がいくつもある。

本記事では、そうした7つの迷信を集めてみた。

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迷信:コネクテッドTVとOTTは同じ

コネクテッドTVが動画や広告が視聴されているデバイスのことなのに対し、OTT(オーバーザトップ)は動画や広告の配信方法のことをいっている。OTTはコネクテッドTVより以前からあって、ケーブルテレビや衛星放送のボックスを迂回して番組をオンラインで視聴できるようにしているTVネットワークを説明するのに使われたのが最初だ(なぜ「オーバージインターネット」ではなく「オーバーザトップ」なのかは知らない)。Hulu(フールー)をモバイルアプリでストリーミング視聴しているなら、OTTでコンテンツにアクセスし、携帯電話やタブレットで視聴しているということになる。サムスンのスマートTVにインストールしたアプリでHuluをストリーミング視聴しているなら、OTTでコンテンツにアクセスし、コネクテッドTVで視聴しているということになる。

迷信:コネクテッドTVには、テレビと同様にインベントリーが大量にある

Apple TV、Roku、Amazon Fire TVといったコネクテッドTVのプラットフォームにはそれぞれアプリが用意されているが、インターネット調査企業コムスコア(comScore)によると、コネクテッドTV上の動画視聴時間は、Netflix、Amazon Prime Video、Hulu、YouTubeの4アプリで75%を占めている。このうち、NetflixとAmazon Prime Videoのふたつは広告がない。HuluとYouTubeは、広告による標準サービスに加えて、広告なしのサブスクリプションを提供している。

シミュールメディア(Simulmedia)のCEO、デイブ・モーガン氏は、「テレビと比較すると、量でいえば、本当に広告で支えられているものは、まだとても限られている。広告なしか、広告はほとんどなしというものが多い。もし、『コネクテッドTVにはプレミアム動画の膨大なインベントリーがあり、拡大している』と考えているなら、事実と異なる」と語った。

迷信:コネクテッドTVのインベントリーは安い

コネクテッドTVのインベントリーは、デジタル動画よりかなり高く、リニアTV(従来のTV放送)と変わらない。アドテク企業のビーズワックス(Beeswax)のCEO、アリ・パパロ氏は、「高いのに少し驚いている」と語った。コネクテッドTVのCPMの平均は20ドル台の半ば。これはリニアTVに匹敵するもので、リニアTVより少し高くなることさえあると、マーカス・トーマス(Marcus Thomas)でメディアとコネクションプランニングのパートナーを務めるラファエル・リビラ氏は教えてくれた。

迷信:コネクテッドTVの広告は、ほかのデジタル広告と同様に追跡できる

コネクテッドTVにはクッキーがないことは広告主もわかっているだろう。だが、モバイルのアプリ内広告は同じようにクッキーはないのに広告を追跡できるのだから、コネクテッドTVも同じはずだと考える広告主がいる。残念ながら、同じではないのだ。リビラ氏は、「多くの広告主はデジタル広告を買うのと同じように考えるが、私がいま追跡できるのは、ウェブサイトでのアクションや店舗への出足くらいだ。あれは迷信なのだ」と語った。

広告主がコネクテッドTVのIPアドレスを集めることができるなら、ラップトップやスマートフォンなど、同じインターネット接続を使っているデバイスにコネクテッドTVのキャンペーンを結びつけるという次善策はある。しかし、コネクテッドTVプラットフォームの最大手の一角であるRokuが広告によるデバイスのIPアドレス収集を制限するなど、これもだんだん難しくなっている。

追跡に制限があるということは、頻度の上限設定のようなテーブルステークスのデジタル広告戦術や、サードパーティのデータを使った広告ターゲティングを、コネクテッドTVのキャンペーンで展開するのは難しいということだ。

迷信:質の高いコネクテッドTVインベントリーはプログラマティックでは利用できない

トレードデスク(The Trade Desk)、ビーズワックス、スポットX(SpotX)、テラリア(Telaria)などのアドテク企業が、コネクテッドTVのインベントリーをプログラマティックで売買するための手段を準備している。リビラ氏によると、インベントリーはユーザー生成コンテンツが(UGC)多いが、HGTVやDIYネットワークなどのTVネットワークやその他のプレミアムパブリッシャーも、プログラマティックで買えるコネクテッドTVのインベントリーを増やしているという。

とはいえ、プログラマティックのオープンなマーケットプレイスは、質の高いインベントリーをいつも利用できるとは限らない。モーガン氏によると、TVネットワークのなかには、詐欺が多いクオリティの低いインベントリーによって汚染されないように、プログラマティックではプレイベートマーケットプレイスでしかコネクテッドTVのインベントリーを提供していないところもある。

迷信:コネクテッドTVには詐欺がない

コネクテッドTVも、広告主をだまして実際は誰も見ていないインプレッションに料金を払わせようとする連中と無縁ではない。詐欺防止サービスのピクサレート(Pixalate)によると、2018年第3四半期、コネクテッドTVの広告インプレッションは世界全体では19%が、米国では18%が詐欺だった。

コネクテッドTVは、テレビ並みの広告予算の可能性があると、それだけ詐欺師にとっては魅力的な宝の山になったり、初期の広告インフラだと詐欺インプレッションの検出と無効化がそれだけ難しかったりと、特に詐欺をやられやすいケースがある。コネクテッドTVの広告は普通、サーバーサイドの広告挿入が使われている。つまり、広告はコンテンツにくっつけてデバイスに配信される。この場合、測定企業などがデバイスの情報を収集して、広告がコネクテッドTVの画面に表示されることや表示されたことを検証するということができず、詐欺師はコネクテッドTVのインプレッションを主張しやすくなる。ピクサレートのCTO、アミン・バンデーリ氏は、「我々はコネクテッドTVのインプレッションを過去2年間測定しているが、この1年半、サーバーサイド広告挿入(SSAI)など、詐欺が入り込めるものが増えている」と語った。

迷信:コネクテッドTVは動画広告のみ

コネクテッドTVのインベントリーは、コネクテッドTVでストリーミングする動画にプレロール広告やミッドロール広告を取り付けたものが大部分だろう。しかし、コネクテッドTVの画面で利用できるインベントリーはそれだけではない。ユナイテッド・ エンターテイメント・グループ(United Entertainment Group)で戦略のシニアディレクターを務めるカイル・ターナー氏は、「広告体験はアプリ自体に完全に制限されるわけではない。たとえば、たくさんあるサムスンのスマートTVには、広告も送り込めるホーム画面がある」と語った。

Tim Peterson (原文 / 訳:ガリレオ)

 

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