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【連載】エコノミスト藤代宏一の「金融政策徹底解剖」
2021年、10月29日に発表された日銀の展望レポートでは、2022年度のコア消費者物価(除く生鮮食品)の見通しはプラス0.9%とされ、2%の物価目標達成に程遠いことが示された。もっとも、2022年4月以降の消費者物価上昇率は加速が見込まれ、物価目標2%の達成もあながち「トンデモ予想」ではなくなってきている。物価上昇の理由は(1)円安と資源価格上昇に伴う輸入物価の上昇、(2)携帯電話通話料の下押し効果剥落という、2つの要因が大きい。これらは今後の金融政策にどのような影響を与えるだろうか。
第一生命経済研究所 経済調査部 主任エコノミスト 藤代宏一
第一生命経済研究所 経済調査部 主任エコノミスト 藤代宏一
2005年、第一生命保険入社。2008年、みずほ証券出向。2010年、第一生命経済研究所出向を経て、内閣府経済財政分析担当へ出向し、2年間「経済財政白書」の執筆、「月例経済報告」の作成を担当する。2012年に帰任し、その後第一生命保険より転籍。2015年4月より現職。2018年、参議院予算委員会調査室客員調査員を兼務。早稲田大学大学院経営管理研究科修了(MBA、ファイナンス専修)、日本証券アナリスト協会検定会員(CMA)。担当領域は、金融市場全般。
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では、日銀が何も行動しないかと言えば、そうとは言い切れない。なぜなら、世界の金融政策の「潮流」が緩和一辺倒でなくなっているからだ。 たとえば、FRB(米連邦準備理事会)をはじめとする主要中央銀行が金融政策を引き締め方向へとかじを切る中、日銀がその流れに便乗する展開も考えられる。主要国中銀のトレンドに沿った方が、金融市場(特に為替)で材料視されず、穏やかに政策変更を実施できるという利点もある。 考えられる政策変更としては、イールドカーブコントロール(YCC)の枠組み変更がある。YCCは短期金利をマイナス0.1%、長期金利をゼロ%程度に固定する政策で2016年9月に導入された。長期金利の上昇圧力を日銀が無限の国債買い入れで抑え込むことによって景気を下支えする狙いがある。 ただし、そうした長期金利を抑え込む政策は副作用が強く、それは日銀も認識している。代表例として年金保険の運用難や銀行収益の圧迫がある。低金利によって国民の運用手段が減ることで、将来不安が増幅され、結果的に個人消費が抑制されているとの指摘も多い。また銀行の収益が過度に圧迫されると、銀行のリスク許容度が低下し、積極的な貸し出しができなくなるといった指摘もある。 こうした副作用に配慮しつつ、いかにYCCの枠組み変更による政策転換の方向性が考えられるだろうか。【次ページ】物価上昇で各国中銀は金融引き締めへ…日銀はどうする?お勧め記事
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