• 記事
  • 【寄稿】少しでも早いサービスを LINE証券フロントエンドエンジニア・鈴木僚太さんインタビュー | 東大新聞オンライン

【寄稿】少しでも早いサービスを LINE証券フロントエンドエンジニア・鈴木僚太さんインタビュー | 東大新聞オンライン

 東大理学部情報科学科でコンピュータサイエンスを学び、現在はLINE証券のフロントエンドエンジニアとして働く鈴木僚太さん。学生時代に学んだことや現在の業務内容、就職先選びで重視したことなどについて語ってもらいました。

──大学時代はどのような学生でしたか

 学部では理学部情報科学科に所属していて、そこから大学院情報理工学系研究科に進み、コンピューター科学を専攻しました。情報理工学系研究科を選んだのは、小学生の頃からプログラミング好きだったことが影響しています。何を研究したいのかについて考えたとき、もっとも興味があるのはプログラミングで、コンピューターをもっと勉強できるところに行きたいという思いから、情報理工学系研究科を選びました。

 大学院の研究室で取り組んでいたのは言語処理系です。その中でプログラムを実行せずに問題を発見する静的解析についての研究も行い、この領域で執筆した論文が国際会議に採択され、イギリスの学会で発表しました。

 単にアプリケーションを開発するだけであればそこまでの知識は必要ありませんが、アプリケーションを作るための基礎的なライブラリやツールを開発する際には、言語処理系の技術はとても役に立つとLINEに入社してから実感しています。ただプログラムを書くだけでなく、プログラムを解析したり生成したりする必要がある場合に言語処理系の知識が活躍しています。業務でも、独自のリンタープラグインの作成やコード生成プログラムを書いています。

──就職活動はどのように行いましたか

 大学3年生の11~12月頃から就職活動を始めました。エントリーしたのはいくつかのWeb系企業です。IT系という意味では、大規模システム開発を得意とするSIerや、大手メーカーなどもあり、先輩でもそういった企業に就職した方はいましたが、自分はWeb系の企業だけに絞っていました。

 先輩などに話を伺っていると、SIerなどとWeb系企業はかなり違うという印象を受けました。大手SIerなどではゆっくりと順番にステップを踏んでキャリアを積んでいくイメージであるのに対し、Web系の企業は自由度が高く、やりたいことが早い段階からできそうだなという印象でした。また大手企業に就職した先輩から、組織構造が柔軟ではない部分もあって、なかなかやりたいことができないという話を聞くこともあり、自分には合わなそうだと感じたことを覚えています。評価制度も気になった部分です。話を聞く限り、年齢や役職で給与テーブルがある程度決まっているSIerなどに対し、Web系企業は評価制度が柔軟で、エンジニアとしてのスキルやビジネスに対する貢献がしっかり評価してもらえるのではないかと感じました。

 LINEはエンジニアリングにおいて先進的な取り組みを進めているという印象がありました。ブログなどでエンジニアが率先して情報を発信していることも好印象でしたね。最終的にLINEを就職先に選んだ理由は、エンジニアとして適切に評価してもらえるだろうと感じたことと、福利厚生を含めて社内制度が整っていることでした。入社して改めて感じましたが、LINEは集中して働けるように社内制度が整えられていて、余計なストレスを感じることがありません。これはLINEに就職してよかったと思う部分の一つです。

 実際にLINEに入社して、自分が考えたことは間違っていなかったと思っています。例えば評価に関しても、自分が取り組んできたことに対して適切に評価してもらえていて、納得感を持って働けています。

──現在の業務内容について教えてください

 スマートフォンに特化したスマホ投資サービスである、LINE証券のフロントエンドエンジニアとして働いています。具体的には、金融サービスとしての安定したサービスの提供を行いつつも、サービスの使い勝手の向上を図るために、私を含むチームで積極的かつ主体的に取り組んでいます。

 実際に手がけた取り組みとして、ユーザーがLINE証券にアクセスした際の読み込み時間の短縮があります。LINE証券を利用する際、まずクライアント側にプログラムを送って実行するわけですが、そのプログラムのサイズが大きくなると読み込みに時間がかかり、ユーザーが待たされることになります。そこでプログラムをコンパクトにするためにさまざまな工夫を凝らし、読み込み時間の短縮を図りました。

 過去にはTypeScriptを用いた、型安全性への取り組みを進めました。TypeScriptは、JavaScriptに型を付けたプログラミング言語ですが、一方でどんな型の値としても利用可能なany型もあります。型安全性での取り組みでは、暗黙のany型をエラーにするコンパイルオプションである「noImplicitAny」を有効にして、正確な型を書くように求めました。

 ただLINE証券では積極的に新機能を提供していて、その開発を止めることはできません。そのため、noImplicitAnyによるコンパイルエラーの解消には1年以上の時間がかかりましたが、それでも完遂できたことは非常に嬉しかったですし、貴重な経験ができたと感じています。

──エンジニアとして働く中で、自身の得意・不得意を感じることはありますか

【寄稿】少しでも早いサービスを LINE証券フロントエンドエンジニア・鈴木僚太さんインタビュー | 東大新聞オンライン

 開発する中で技術的に難しい課題に取り組み、解決策を導き出すことは得意なところです。一方でチームのマインドを変えるといったことは苦手だなと感じていました。

 ただLINEでは、得意なところを伸ばすだけでなく、不得意だと感じている領域にも挑戦する機会があります。さらに言えば、本人ができることややりたいこと、会社としてやってほしいこと、そして会社として足りていない部分のバランスを取りながら、それぞれのエンジニアのやるべきことが決まるという印象です。

 私自身も普段から「こんなことがやりたい」という話をしていますし、自分がやりたいことにチャレンジさせてもらえる機会も多いので、エンジニアとしての自分の望む成長につながる職場だと思います。

──LINEに入社して、イメージと違った部分があれば教えてください

 金融サービスであるLINE証券の開発であるため、想像していたよりもリスクに対して慎重な姿勢で臨むことが多く、例えば新機能のリリースなども慎重に行われています。

 新たな技術の採用に関しても、単に先進的であるといった理由で採用されることはなく、それによって得られるメリットや安定性への影響、あるいはコスト面など、さまざまな観点から技術に対して評価を行い、採用するかどうかを判断するイメージです。

 エンジニアとして採用する技術の選定や提案を行うこともありますが、その際には技術面での優位性といったものだけでなく、それを採用することでどのようなベネフィットが得られるのか、ビジネス的な影響はどうかなど、バランスよく考えられるかどうかが重要です。

──エンジニアリングブログの執筆も行っているとのことですが、どういった意図があるのでしょうか

 主な目的は、LINE証券の技術的な部分での取り組みやその面白さを外に発信していくことです。私たちの仕事について、多くの人に知っていただきたいと思いながら発信しています。

 また、外部への発信はエンジニア本人のためにもなる取り組みだと考えています。対外的に見える形で成果を残すことになりますし、エンジニアとしての知名度の向上にもつながるためです。その点において、外部に発信するためのメディアが運用されていて、そこで自分の書いた記事を発信してもらえるのはすごくありがたいですね。

鈴木さんのチームが書いているブログ記事はコチラ

──今、学生として進路を検討している方々にアドバイスはありますか

 エンジニアを目指す人は、技術は好きだけれど面倒くさがりというタイプの人が多いのではないでしょうか。そういった人にLINEはとてもおすすめできる会社です。

 先にお話したようにLINEはエンジニアが集中して仕事に取り組める環境が整えられていて、ストレスなく働くことができます。また技術的な面でもLINEは非常にレベルが高く、そこを重要視する人にとっても申し分ない会社だと実感しています。

 これから就職活動を行う人へのアドバイスとしては、技術に対する興味、あるいは熱意をアピールしてほしいですね。特にLINEのような会社では、技術に対する興味関心はすごく重要だと思うので、面接などの場で積極的に伝えられるとよいのではないでしょうか。そうした興味関心の延長線上で、その技術を用いて実際に開発したサービスやプロダクトをアピールすることも有効だと思います。

LINE株式会社 新卒採用サイト(技術職):

https://linecorp.com/ja/career/newgrads/engineering/

【記事修正】2021年12月13日午前11時2分 記事タイトルおよびリード文の「フロントエンジニア」を「フロントエンドエンジニア」に修正しました。